公園が多くても歩いていけない校区がある:姫路市全69校区の徒歩圏ランキング

公園・遊び場

「うちの校区って、公園は多いほうなのかな」——子どもを連れて散歩しながら、ふとそんなことを考えた方も多いのではないでしょうか。姫路市内には486か所の公園がありますが、その数が子育ての日常にとってどれほど意味があるのかは、改めて問われると意外と答えにくい問いです。

そこで今回、姫路市全69校区のデータを地図に重ねて、「どの校区に、どれだけの公園があり、子連れで歩いて行ける範囲にあるのか」を整理してみました。すると、姫路の公園環境はおおむね3つの層に分かれていること、そして行政が目安にする500mと、ベビーカーを押す保護者にとっての実用距離である250mとでは、同じ校区の評価がまったく違って見えてくることが分かりました。第1記事に続き、姫路の街をデータと地図で読み解きます。


姫路市の公園を校区別に並べてみる

公園の「多さ」を校区どうしで比べようとすると、すぐに難しさにぶつかります。山間部のような広い校区では公園が数件しかなくても珍しくなく、逆に面積の小さな市街地校区では、同じ件数でもずっと密度が高く見えるからです。そこで今回は、校区の面積で割った「公園密度(1平方キロメートルあたりの公園数)」を指標にしました。

使ったデータは2つ。姫路市が公開している公園一覧(486件、2023年10月時点)と、国土交通省の小学校区ポリゴンデータ(A27、2016年版)を重ね合わせ、全69校区それぞれの公園密度を算出しました。「校区」という単位を選んだのは、それが子どもの生活圏とちょうど重なっているからです。通学路、放課後の遊び場、地域行事の範囲——どれも、おおむね校区の枠の中で完結しています。

順位校区密度(件/km²)250m徒歩圏
1城東8.7067.3%
2広畑8.0844.5%
3城陽6.5074.7%
4高浜6.4873.9%
5英賀保6.2654.9%
65.6679.3%
7大津5.0143.8%
8高岡西4.4343.0%
9船場4.2371.5%
10手柄4.1880.5%
60上菅0.149.1%
61菅生0.140.0%
62置塩0.133.9%
63坊勢0.1246.5%
64伊勢0.110.0%
65古知0.0933.5%
66前之庄0.048.1%
67安富南0.048.8%
68安富北0.0319.0%
69莇野0.000.0%
表1:校区別公園密度ランキング(TOP10+BOTTOM10/全69校区中)。全69校区の完全版は別記事で公開予定。
出典:姫路市オープンデータ(公園一覧、2023年)+国土数値情報A27(小学校区、平成28年)より筆者作成。

最も密度が高いのは城東校区。最も低いのは莇野(あぞの)校区で、ここは校区内に公園が1件もありません。詳しい数字は表1にまとめています。全69校区の完全版データは、別記事「【保存版】姫路市全69校区 公園密度ランキング完全版」(公開予定)に掲載する予定です。


3つの層に分かれる姫路の公園環境

校区ごとの公園密度には、想像以上の幅があります。市内で最も多い校区と、公園0件の莇野校区を除いた最も少ない校区とでは、その密度差は実に200倍以上。同じ「姫路市内の公園環境」と一括りに語るのが難しいほどの開きがあります。

上位5校区は、姫路駅周辺から西の臨海部にかけての市街地に集中していました。城東・広畑・城陽・高浜・英賀保——いずれも住宅の密集した、古くからの市街地校区です。一方、下位に並ぶ古知・前之庄・安富南・安富北・莇野は、市の北東部や内陸部にある農村部・山間部中心の校区。もともとの地理的条件が大きく異なります。下位校区の密度が低いのは、「公園の整備が遅れているから」というよりも、地形や開発の歴史の違いを反映している、と捉えるほうが自然です。

こうしたデータを整理すると、姫路の公園環境はおおむね3つの層に分かれて見えてきます。市街地中心部に多い「公園充実型」(25校区)、郊外住宅地に多い「公園標準型」(23校区)、山間部・農村部に広がる「公園整備進展中」(21校区)です。「整備進展中」は暮らしの水準が劣るという意味ではなく、あくまで地理的な条件の違いを反映した分類として読んでください。

姫路市全69校区の公園密度マップ。公園充実型(市街地中心部・25校区)、公園標準型(郊外住宅地・23校区)、公園整備進展中(山間部・農村部・21校区)の3層をコロプレスで示した図。
図1:校区別公園密度マップ(3層分類)。出典:姫路市オープンデータ(公園一覧)+国土数値情報A27より筆者作成。

500m基準では「合格」、250m基準で見ると景色が一変する

都市公園の整備にあたって、行政は「住宅地から500m以内に公園を配置する」ことを目安にしています。500mは大人の足でおよそ6〜7分の距離。行政ではこれを「誘致圏」と呼んでいます。

この500m基準で3層のカバー率を見てみると、公園充実型は平均で9割以上、標準型でも8割超、整備進展中でも4割の住民が公園の射程内に入ります(詳しくは表2)。住民全員(100%)が500m圏内でカバーされている校区も、全69校区のうち23校区。姫路市の公園配置は、行政の基準で見ればおおむね機能していると言ってよさそうです。

層名校区数平均密度
(件/km²)
平均250m徒歩圏平均500m徒歩圏
(参考)
再編対象
公園充実型25校区4.2159.4%95.8%1校区
公園標準型23校区1.4841.0%83.9%0校区
公園整備進展中21校区0.2517.3%41.0%10校区
表2:3層別の校区数・平均密度・徒歩圏カバー率比較。
※「再編対象」は、2025年3月公表の「姫路市立小中学校適正規模・適正配置基本方針」で2030年度までに統合予定とされている小学校の校区数。
出典:姫路市オープンデータ+国土数値情報A27+国勢調査2020年500mメッシュ人口より筆者作成。

ところが、基準距離を「250m」に変えると景色がガラリと変わります。250mは、ベビーカーを押す保護者や、幼児の足でも無理なく往復できる距離の目安。子連れの実生活では、こちらのほうが「ふらっと公園まで行ける距離」の実感に近いはずです。この250mで見直すと、カバー率は充実型で6割弱、標準型は4割、整備進展中はおよそ2割まで下がります。そして「住民の全員が250m圏内に公園を持つ」校区は、全69校区を探しても1つも見つかりませんでした。

同じ校区でも、見る距離を変えるだけで評価が大きく変わるケースもあります。余部校区は500m基準なら住民全員(100%)が圏内ですが、250mで測り直すと25.4%にまで激減。広畑第二校区はもっと極端で、500mで100%、250mではわずか14.9%です。「行政の目で見れば合格、子連れの目で見ればかなり苦しい」という落差が、ここに表れています。


公園が多くても歩けない、少なくても歩ける——配置という変数

密度ランキングと250m徒歩圏ランキングは一致しません。安室校区は密度15位の公園充実型ですが、250m徒歩圏カバー率は12.0%にとどまります。一方、南大津校区は密度35位の公園標準型ですが、250m徒歩圏カバー率は94.3%に達します。

この落差を生むのは、校区内のどこに公園が配置されているかという「配置の変数」です。安室校区では公園6件すべてが校区北東部に集中しており、西側・南側に居住する約8,000人の住民が250m圏外に取り残されています。南大津校区では公園が校区内に分散配置されているうえ、住民にとって行政界は関係なく、隣接する大津校区の公園も250m圏内に入ってきます。

安室校区と南大津校区の公園配置比較マップ。安室校区は公園6件が北東部に集中し250m徒歩圏カバー率12.0%、南大津校区は公園が分散配置され250m徒歩圏カバー率94.3%。
図2:安室校区(左)と南大津校区(右)の公園配置比較。濃い色のメッシュが250m徒歩圏内の居住地域。出典:国勢調査2020年500mメッシュ人口+姫路市オープンデータより筆者作成。

「公園密度」という指標は、校区内に何件あるかを示すだけで、それが住宅地から歩いて行ける位置にあるかどうかまでは保証してくれません。子連れの徒歩生活において本当に意味があるのは、校区内の公園数ではなく、自宅から250m圏内に公園があるかどうかです。安室校区と南大津校区の対比は、この違いの重要性をはっきりと示しています。


駅南エリアで確かめてみる

ここで一度データの話から離れて、自分の生活圏に引き寄せて確かめてみます。筆者の日常的な行動範囲は、姫路駅南側のエリアにあります。

この駅南エリアにある校区は、いずれも「公園充実型」に分類されています。250m徒歩圏のカバー率でも全69校区の上位に入る校区が複数あり、500m基準ではいずれの校区も住民全員が圏内に入ります。

体感としても、子どもを連れて10分ほど歩けば、たいていどこかの公園にたどり着けます。数字と日々の実感は、おおむね一致しています。ただしこれはあくまで「公園に歩いて行けるかどうか」という量の話。遊具の種類が子どもの年齢に合うか、日当たりや日陰の具合、トイレや手洗い場の有無——公園の「質」については、また別のデータと別の取材が必要な、別の問いになります。


まとめ

姫路市の公園環境は、市街地中心部に広がる「公園充実型」、郊外住宅地中心の「公園標準型」、山間部・農村部の「公園整備進展中」という3層に分かれていました。この差は、地形や開発の歴史といった条件の違いを反映したものであり、校区ごとの優劣を示すものではありません。

どの層に属していようとも、「子連れで公園まで歩いていけるか」を問うなら、公園の件数や密度よりも、自宅から250m徒歩圏のほうが実態に近い指標になります。自分の校区がどの層に位置し、生活圏の中に公園がどう分布しているのかを知ることが、住まい選びや日々のお出かけの計画の出発点になるはずです。全69校区の詳しいデータは、別記事にまとめる予定です。

→「【保存版】姫路市全69校区 公園密度ランキング完全版」(公開予定)


データ出典:姫路市オープンデータ「公園一覧」(2023年10月時点)、国土数値情報A27 第2.1版(2016年)、国勢調査2020年 500mメッシュ人口。地図データ © OpenStreetMap contributors(CC BY-SA 2.0)。分析・図表は筆者作成。各データのライセンス:CC BY-SA 4.0(姫路市)、国土数値情報利用規約(国土交通省)。

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